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アフォー列車

鉄路の旅を渇望しているあなたへ。現代の『阿房列車(あほうれっしゃ)』(内田百閒先生著)を目指します!

旧客の復刻は今年の9月です!

JR西日本の「新造旧型客車」の登場まで、いよいよ半年あまりとなりました。

ご存じのとおり、この客車は蒸気機関車全盛期の旧型客車であるマイテ49 、オハ35、オハ31を復刻・新造したもので、全5両で1編成を組み、山口線に「SLやまぐち号」用として投入されるそうです。

クルマの世界では、イギリスのジャガーが2014年にジャガーEタイプ(1961~1975)の高性能版を、当時とまったく同じ仕様で6台復刻すると発表し、自動車ファンの間で話題になりました。

互いの発表時期が近かったこともあってか、この2つのニュースにはどこか共通したものを感じたのを覚えています。

もっとも、新造旧型客車の方は当時とまったく同じ仕様ではなく、今回新たにベビーカー置き場を設けたり、バリアフリー構造にしたり、それ相応の現代化が施されるようです。

ブルートレインを初めとする寝台列車が風前の灯となった今では、残念なことに、JRには客車で運行される定期列車がなくなってしまいました。

インフラとしての鉄道は、定時性や高速性を追求し、同時に効率や合理性を推し進めなくてはなりませんから、その文脈の中では客車は生き残れなかったということでしょう。

しかし鉄道には、まちづくり・地域づくりへの貢献という側面もあります。もっとストレートに、われわれの心には郷愁というものがあります。

廃止ばかりがクローズアップされる2017年の鉄道ですが、いいこともありそうです。

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大井川鐵道のオハ35の車内。2008年筆者撮影。

さよならは誰のために?

寝台列車が廃止になったり、ローカル路線が廃線になったりするときに、集まった鉄道ファンたちは「ありがとう」とか「さようなら」とか言います。

あれは誰に向かって言っているのでしょうか。機関車でしょうか。列車全体でしょうか。それとも運転士に対してでしょうか。

彼らは、誰に対してでもなく、自分自身に対して「ありがとう」と言っているのではないのか。

言い換えるなら、自分が過ごした時代、自分が属した社会に対する惜別の念を表現しているのではないのか。

鉄道とは心の風景画である。

最近そんなふうに思えて仕方がありません。

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 寝台特急「北陸」の廃止と、急行「能登」の臨時化が重なった2010年3月12日、上野駅には別れを惜しむ人たちがたくさん訪れ、文字通り、立錐の余地もない状態となった。筆者撮影。

583系ありがとう!

春なのにお別れですか〜、と歌ったのは柏原芳恵ですが、2017年4月8日に583系がとうとう引退するのだそうです。寂しいですけど、これまでよく頑張ったと感謝の言葉を贈りたいと思います。

1980年代の初頭、中学生だった私はひとりで名古屋駅から博多駅まで寝台特急「金星」に乗りました。ずいぶん前の話ですが、これが私にとっての最初で最後の583体験でした。

東京だと583系は「はくつる」や「ゆうづる」としての馴染みがあるためか、個人的には北行きというイメージがあります。

でも大阪だと583系は「明星」、「彗星」、「なは」など九州行き寝台特急としてたくさん走っており、それをずっと羨ましく見ていました。

子供としては、手を伸ばしても届かない憧れの異文化みたいな感じで遠くから見ていました。

いざそれに乗れるという段になって、よりによって名古屋発の孤高の寝台特急「金星」を選んだのです。なんともシブい列車を選んだものです。「金星」はその後、数年内に廃止されてしまいました。

それもこれも、今となってはいい思い出です。「金星」に乗れてよかった。ありがとさん、583系。

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 九州鉄道記念館に583系の原型、581系の先頭車「クハネ581-8」が静態保存されています。やっぱり581/583系は「月光」のヘッドマークがお似合いですね。2011年筆者撮影。